| あの９・１１の事件以来、世界は改めてテロの恐ろしさとその苦悩の中に置かれています。 そして、その背後に、宗教の問題が大きく横たわっていることを誰もが感じていると思います。また、いわゆるグローバリズムと民族主義の衝突ということも、全世界に共通の難問となっています。 世界を大きな一つの国のように考える世界連邦のような考え方は、国連にも受け継がれていると思いますが、それに対して、各民族や文化、地域の独立を重んじる考え方も捨てることはできません。 古代のローマ帝国もあらゆる王国も、近代の帝国主義も、世界を一つにすることはできませんでした。 今日の、アメリカをはじめとする主にキリスト教圏を中心とするグローバリズムと、それに対するイスラム原理主義の抵抗もこれらの問題を引きずっているようです。 しかし、キリスト教の信仰から見る限り、世界を一つにしようとするあらゆる努力は、志としては良いとしてもそのままで実現すると考えることはできません。 つまり、人間の知恵と力によって世界が、そして人間は真の一致には至らないということです。それは、創世記１１章に記されている「バベルの塔」の出来事に象徴的に語られていると思います。人間の企てによる世界統一は失敗しました。しかし、聖霊が降ったペンテコステの日(使徒言行録２章)、バベルの塔以来の分裂は、イエス・キリストにおいて解消されたことが示されました。 私たちはキリストを真の王と信じ、また、この方が、私たちの「平和」であり、十字架において、「敵意という隔ての壁を取り壊し」てくださったと信じています。私たちキリスト者は、このお方に、希望をおいていますから、ただこのお方を宣べ伝えることが、いま世界を悩ませている問題に答えることだと信じているのです。 「ユダヤ人もギリシヤ人もなく、・・・あなたがたはみな、キリスト・イエスにあって、一つだからです」（ガラテヤ書３：２８） |