| 「日本人にキリスト教は不要」というのは、案外一般的な考えになっていると思います。その背後には、「日本人は特殊」という考えもあるでしょう。しかし、ほんとうにそうなのか、考えてみる必要があると思います。 まず、「日本人には」という発言にはすでに、「日本人ならこういう生き方をしなければならない」という脅迫にも似た、こり固まった考え方があります。 また、これも多くの人々の頭の中に頑固にこびり付いた、いわゆる「日本異質論」もしばしば主張されます。たしかに日本には独特の歴史、伝統、文化、宗教があります。でも、それは何も日本だけのことではありません。あらゆる国々には、独特の歴史や文化があることは言うまでもないことでしょう。 それでも「日本人には」「キリスト教は」と言われるときには、そこにはナショナリズムやある種のイデオロギーに基づいた拒絶があるといえます。あるいは、もっと単純に、人間や世界の根本問題について考えたくないという態度があるといえるでしょう。 このような環境で、聖書の信仰やキリスト教の真理を伝えようとするのには、やはり大きな困難を感じます。実際、難しいということを、私たち日本のキリスト者たちは経験しています。 でも、悲観する必要はまったくありません。なぜかと言えば、いまあげました「日本人には」という固定観念や「日本異質論」によっては、一貫した生き方はできないからです。からなずどこかで矛盾が露呈して、日本人自身が行き詰まってしまうからです。 そのような矛盾に悩むところでは、もはや「日本人」として悩むのでなく、「人間」として悩まざるを得なくなります。ですから、必ず「日本人にも」福音が宣べ伝えられなければなりませんし、その土壌も十分あるのです。 |